
夏の汗と雑菌で悪化しやすい「毛包炎・せつ(おでき)」の原因・症状と皮膚科での治療法〜自己処置の危険性も解説
夏になると、「赤いブツブツができた」「おできができて痛い」というご相談が増えてきます。これらの症状の多くは「毛包炎(もうほうえん)」や、それが悪化した「せつ(おでき)」と呼ばれる皮膚の感染症です。汗をかきやすい夏場は特に発症しやすく、適切な治療を受けないと悪化することもあります。今回は、毛包炎・せつの原因や症状、そして自己処置の危険性と皮膚科での治療法について詳しく解説します。
毛包炎・せつ(おでき)とは?その原因を知ろう
毛包炎とは、毛穴の奥にある「毛包」という部分に細菌が感染して炎症を起こした状態です。初期は赤い小さなブツブツとして現れ、軽い痛みやかゆみを伴うことがあります。
この毛包炎がさらに悪化し、毛包の周囲まで炎症が広がって膿がたまった状態を「せつ(おでき)」と呼びます。赤く腫れ上がり、触ると強い痛みを感じるのが特徴です。
【主な原因】
- 黄色ブドウ球菌などの細菌感染:皮膚に常在する細菌が毛穴に入り込んで感染を起こします
- 汗や皮脂による毛穴の詰まり:夏場は汗や皮脂の分泌が増え、毛穴が詰まりやすくなります
- ムダ毛の自己処理:カミソリや毛抜きによる処理で皮膚に小さな傷ができ、そこから細菌が侵入します
- 摩擦や蒸れ:衣類との摩擦や、汗による蒸れが皮膚のバリア機能を低下させます
- 免疫力の低下:疲労やストレス、糖尿病などで免疫力が下がると発症しやすくなります
特に夏は、汗をかきやすく細菌が繁殖しやすい環境になるため、背中・お尻・太もも・脇などに発症する方が急増します。
毛包炎とせつ(おでき)の症状の違い
毛包炎とせつは連続した病態ですが、症状の程度に違いがあります。
【毛包炎の症状】
- 毛穴に一致した赤い小さなブツブツ
- 軽い痛みやかゆみ
- 中心に膿の点(白い芯)が見えることもある
- 複数箇所に同時に発生することが多い
【せつ(おでき)の症状】
- 赤く硬く腫れ上がったしこり(直径1〜3cm程度)
- 触ると強い痛みがある
- 数日で中心部が黄色くなり、膿がたまる
- 発熱や全身のだるさを伴うこともある
- 複数のせつがつながった状態を「よう」と呼び、さらに重症化します
せつが顔面(特に鼻や口の周り)にできた場合は、細菌が血流に乗って脳に影響を及ぼす危険性があるため、早急な受診が必要です。
自己処置の危険性〜なぜ「つぶしてはいけない」のか
おできができると、「早く膿を出してしまいたい」と自分でつぶそうとする方がいらっしゃいますが、これは非常に危険な行為です。
【自己処置の危険性】
- 感染の拡大:清潔でない手や器具で触ることで、周囲の皮膚にも細菌が広がり、症状が悪化します
- 深部への感染:無理に押し出そうとすると、膿が皮膚の深い層に押し込まれ、より重症な感染(蜂窩織炎など)を引き起こす可能性があります
- 傷跡が残る:自己処置で皮膚を傷つけると、色素沈着や陥凹した傷跡(瘢痕)が残りやすくなります
- 敗血症のリスク:まれに細菌が血液中に入り、全身に広がる重篤な状態になることもあります
市販の塗り薬だけで様子を見ている間に悪化するケースも少なくありません。赤く腫れて痛みがある場合は、早めに皮膚科を受診することをお勧めします。
皮膚科での治療法と日常生活での予防策
【皮膚科での治療】
皮膚科では、症状の程度に応じて以下の治療を行います。
- 軽度の毛包炎:抗菌薬の塗り薬(外用薬)で治療します。適切な薬を使用すれば、多くの場合1〜2週間で改善します
- 中等度〜重度のせつ:抗菌薬の飲み薬(内服薬)を併用します。原因菌に効果的な抗生物質を選択することで、確実に治療を進めます
- 膿がたまっている場合:局所麻酔をして切開し、膿を排出する処置(切開排膿)を行うことがあります。これにより痛みが軽減し、治癒が早まります
【日常生活での予防策】
- 汗をこまめに拭き取る:汗をかいたらすぐに拭き、可能であればシャワーを浴びましょう
- 通気性の良い衣類を選ぶ:綿や吸湿速乾素材の下着・衣類がおすすめです
- 肌を清潔に保つ:毎日の入浴で優しく洗い、清潔を心がけましょう
- ムダ毛処理は慎重に:清潔なカミソリを使い、処理後は保湿ケアを行いましょう。医療脱毛も選択肢の一つです
- 免疫力を維持する:十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動を心がけましょう
毛包炎やせつは、適切な治療を受ければ比較的短期間で治癒する病気です。しかし、放置したり自己処置をしたりすると、重症化や傷跡が残る原因になります。「おかしいな」と思ったら、早めに皮膚科専門医にご相談ください。
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