夏の汗で悪化しやすい「掌蹠膿疱症」とは?症状・原因と皮膚科での治療法を解説
手のひらや足の裏に小さな水ぶくれや膿のようなブツブツができ、なかなか治らない…そんな症状にお悩みではありませんか?それは「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」という皮膚の病気かもしれません。
特に夏場は汗をかきやすく、症状が悪化しやすい季節です。今回は、掌蹠膿疱症の症状や原因、そして皮膚科での治療法について詳しく解説します。
掌蹠膿疱症とは?どんな症状が出るの?
掌蹠膿疱症は、手のひら(掌=しょう)と足の裏(蹠=せき)に、膿を持った小さなブツブツ(膿疱)が繰り返しできる慢性の皮膚病です。
【主な症状】
- 手のひらや足の裏に、直径数ミリ程度の黄色っぽい膿疱ができる
- 膿疱の周りが赤くなり、かゆみや痛みを伴うことがある
- 時間が経つと膿疱が乾燥し、茶色いかさぶたになる
- 皮膚がカサカサになり、ひび割れ(亀裂)ができることも
- 症状が良くなったり悪くなったりを繰り返す
見た目が「膿」のように見えるため、「うつるのでは?」と心配される方も多いですが、掌蹠膿疱症は感染症ではないため、人にうつることはありません。膿疱の中身は白血球が集まったもので、細菌やウイルスではないのでご安心ください。
また、約10〜30%の患者さんでは、胸の中央(胸鎖関節や胸肋関節)に痛みが出る「掌蹠膿疱症性骨関節炎」を合併することがあります。朝起きたときに胸や鎖骨のあたりが痛む場合は、この合併症の可能性があります。
掌蹠膿疱症の原因は?なぜ夏に悪化しやすいの?
掌蹠膿疱症の正確な原因はまだ完全には解明されていませんが、免疫の異常が関係していると考えられています。いくつかの要因が症状を引き起こしたり、悪化させたりすることがわかっています。
【悪化要因として知られているもの】
- 喫煙:患者さんの多くが喫煙者であり、禁煙で症状が改善するケースが多く報告されています
- 扁桃炎や歯周病などの慢性感染症:体内の慢性的な炎症が引き金になることがあります
- 金属アレルギー:歯科金属(詰め物やかぶせ物)が関係している場合があります
- ストレス:精神的なストレスで悪化することがあります
- 汗:手のひらや足の裏にかく汗が刺激となり、症状を悪化させます
夏に悪化しやすい理由としては、気温の上昇により手足に汗をかきやすくなることが大きく関係しています。汗が皮膚を刺激し、蒸れた環境が続くことで、膿疱ができやすくなったり、かゆみが強くなったりします。
また、夏バテによる体調の変化やストレスも、症状悪化の一因となる場合があります。
皮膚科ではどんな治療を行うの?
掌蹠膿疱症は慢性的な病気ですが、適切な治療を続けることで症状をコントロールし、日常生活の質を改善することができます。皮膚科では、症状の程度に応じてさまざまな治療法を組み合わせて行います。
【主な治療法】
1. 外用薬(塗り薬)
- ステロイド外用薬:炎症を抑え、膿疱や赤みを改善します。手のひらや足の裏は皮膚が厚いため、やや強めのステロイドを使用することが多いです
- ビタミンD3外用薬:皮膚の新陳代謝を正常化し、症状を安定させます。ステロイドと併用することも多いです
2. 内服薬(飲み薬)
- ビタミンA誘導体(レチノイド):皮膚の細胞の生まれ変わりを調整します
- 免疫調整薬:症状が重い場合に使用されることがあります
- 抗生物質:慢性感染症が関与している場合に使用します
3. 光線療法(紫外線治療)
特定の波長の紫外線を患部に照射し、免疫反応を調整する治療法です。外用薬だけでは効果が不十分な場合に行われます。
4. 生活習慣の改善指導
- 禁煙の推奨(最も重要な生活指導の一つです)
- 歯科受診の勧め(歯周病や歯科金属のチェック)
- 汗対策(こまめに拭く、通気性の良い靴下を選ぶなど)
5. 生物学的製剤
従来の治療で効果が得られない重症例には、注射による新しい治療法(生物学的製剤)が選択されることもあります。
日常生活で気をつけたいセルフケアのポイント
治療と並行して、日常生活でのケアも症状の安定には重要です。
- 禁煙を心がける:喫煙は最も大きな悪化要因です。禁煙外来の利用も検討してみてください
- 汗をこまめに拭く:汗をかいたらすぐにタオルで優しく拭き取りましょう
- 通気性の良い靴・靴下を選ぶ:蒸れを防ぐことが大切です
- 保湿をしっかり行う:皮膚が乾燥してひび割れを起こさないよう、保湿剤を塗りましょう
- 強くこすらない:かゆくても掻きむしらず、薬で対処しましょう
- ストレスをためない:適度な休息やリラックスする時間を作りましょう
気になる症状があれば早めに皮膚科を受診しましょう
掌蹠膿疱症は、適切な診断と治療を受ければ、症状を上手にコントロールできる病気です。しかし、自己判断で市販薬を使い続けたり、放置したりすると、症状が長引いたり、悪化したりすることがあります。
手のひらや足の裏に繰り返し膿疱ができる、皮膚がボロボロとめくれる、かゆみや痛みで日常生活に支障があるといった症状がある方は、ぜひ一度皮膚科にご相談ください。特に夏場は悪化しやすい時期ですので、早めの受診をおすすめします。
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