
夏に向けて気になるワキ汗・多汗症の原因と皮膚科でできる治療法
気温が上がり始めると、「ワキ汗が気になって薄着ができない」「汗ジミが恥ずかしい」というお悩みで来院される方が増えてきます。汗をかくこと自体は体温調節のために必要な機能ですが、日常生活に支障をきたすほどの発汗は「原発性腋窩多汗症」という病気かもしれません。
今回は、多汗症の原因と皮膚科で受けられる治療法についてわかりやすく解説します。
多汗症とは?ただの汗っかきとの違い
多汗症とは、体温調節に必要な量を超えて、過剰に汗をかいてしまう状態をいいます。「汗っかき」との違いは、日常生活に支障があるかどうかがポイントです。
たとえば、以下のような症状がある方は多汗症の可能性があります。
- 緊張していないのにワキや手のひらに大量の汗をかく
- 汗のせいで服がすぐに濡れてしまい、着替えが必要になる
- 汗が気になって人前に出ることが不安になる
- 書類や本が汗で濡れて困る
- スマートフォンの操作がしにくい
多汗症は、発汗が起こる部位によって「全身性」と「局所性」に分けられます。ワキ、手のひら、足の裏、顔など特定の部位に集中して汗をかく場合は「局所性多汗症」と呼ばれ、特にワキの多汗症は「腋窩(えきか)多汗症」といいます。
多汗症の原因は?なぜ汗が止まらないの?
多汗症の原因は、大きく分けて2つあります。
1. 原発性腋窩多汗症(明らかな原因がないもの)
検査をしても特に異常が見つからず、体質的に汗腺の働きが活発になっているタイプです。多汗症の多くはこちらに該当します。交感神経(自律神経の一種)が過敏に反応することで、必要以上に汗が分泌されると考えられています。
原発性多汗症には以下のような特徴があります。
- 思春期前後(25歳以下)から症状が始まることが多い
- 家族にも同じ症状がある場合がある
- 左右対称に症状が出る
- 睡眠中は汗が止まる
- 週に1回以上、大量の発汗がある
2. 続発性多汗症(他の病気や薬が原因のもの)
甲状腺機能亢進症、糖尿病、更年期障害、感染症などの病気や、一部の薬の副作用として多汗が起こることがあります。この場合は、原因となる病気の治療が優先されます。
皮膚科で受けられる多汗症の治療法
「汗は体質だから仕方ない」と諦めている方も多いですが、多汗症は皮膚科で治療できる病気です。症状の程度や部位に応じて、いくつかの治療法があります。
1. 塗り薬による治療(外用療法)
最も手軽に始められる治療法です。汗腺の出口をふさいで汗の分泌を抑える「塩化アルミニウム」を含む外用薬がよく使われます。就寝前に清潔なワキに塗り、翌朝洗い流すという使い方が一般的です。
2020年からは、ワキの多汗症に対して保険適用となる外用薬(エクロックゲル、ラピフォートワイプ)も登場しました。1日1回塗るだけで汗を抑える効果が期待でき、多くの方が治療を始めやすくなっています。
2. 飲み薬による治療(内服療法)
汗を出す指令を抑える働きのある内服薬を使用します。外用薬だけでは効果が不十分な場合や、複数の部位に症状がある場合に検討されます。ただし、口の渇きや便秘などの副作用が出ることがあるため、医師と相談しながら使用します。
3. ボツリヌス毒素注射(ボトックス注射)
汗腺に働きかける神経の働きを一時的にブロックする注射です。ワキに細い針で注射することで、4〜6か月程度、発汗を抑える効果が続きます。
重度の原発性腋窩多汗症と診断された場合は、保険適用で治療を受けることができます。効果には個人差がありますが、多くの方が「汗の量が明らかに減った」と実感されています。
まずは皮膚科で相談を
多汗症は、正しい診断と適切な治療によって、症状をコントロールできる病気です。市販の制汗剤で対処しきれない方、汗のせいで日常生活や仕事に支障がある方は、一度皮膚科を受診されることをおすすめします。
特に、保険適用の外用薬やボトックス注射など、以前に比べて治療の選択肢は大きく広がっています。「たかが汗」と我慢せず、この夏を快適に過ごすためにも、お気軽にご相談ください。
当院では、患者さまのお悩みを丁寧にお聞きし、症状に合った治療法をご提案いたします。
さくら皮フ科・形成外科(品川区武蔵小山)
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