
夏の終わりに増える「とびひの再発・重症化」と抗菌薬耐性菌への対策〜皮膚科での適切な治療と家庭内感染予防のポイント
夏の終わり、「治ったと思ったとびひがまた広がってきた」「塗り薬が効かなくなってきた気がする」というご相談が増えてきます。とびひ(伝染性膿痂疹)は正しく治療すれば治る病気ですが、中途半端な治療や抗菌薬の使い方によっては、なかなか治らなかったり、家族にうつしてしまったりすることがあります。
この記事では、とびひが再発・重症化する原因と、最近問題になっている「抗菌薬が効きにくい菌(耐性菌)」への対策、そして家庭内での感染予防についてわかりやすく解説します。
なぜ夏の終わりにとびひが悪化しやすいの?
とびひは、皮膚に傷がついたところに黄色ブドウ球菌や溶連菌などの細菌が感染して起こる病気です。夏場に多い理由として、以下のことが挙げられます。
- 汗をかきやすい:湿った皮膚は細菌が繁殖しやすい環境です
- 虫刺されやあせもを掻いてしまう:傷口から細菌が入りやすくなります
- プールや水遊びの機会が多い:肌同士の接触で感染が広がりやすくなります
特に夏の終わりは、夏の間に何度も繰り返したとびひが完全に治りきっておらず、そこから再び悪化するケースが見られます。「もう治ったから」と自己判断で薬をやめてしまうことが、再発の大きな原因になっています。
「薬が効かない」と感じたら要注意〜抗菌薬耐性菌の問題
最近、皮膚科の現場で問題になっているのが「抗菌薬耐性菌」です。これは、よく使われる抗菌薬(抗生物質)が効きにくくなった細菌のことです。
とびひの治療には塗り薬や飲み薬の抗菌薬を使いますが、以下のような使い方をすると、菌が薬に慣れてしまい、効きにくくなることがあります。
- 症状が良くなったからといって、処方された日数より早くやめてしまう
- 市販薬や以前もらった薬を自己判断で使い続ける
- 塗り薬を薄く塗りすぎる、または塗る回数が少ない
耐性菌によるとびひは、通常の治療では治りにくく、症状が長引いたり、他の部位や家族に広がりやすくなったりします。
「塗り薬を使っているのに1週間以上良くならない」「どんどん広がっている」という場合は、耐性菌の可能性がありますので、早めに皮膚科を受診してください。当院では、必要に応じて細菌の検査を行い、その菌に効く抗菌薬を選んで治療を行います。
皮膚科での適切な治療とは
とびひを確実に治すためには、皮膚科で正しい診断を受け、適切な治療を最後まで続けることが大切です。
【皮膚科での治療の流れ】
- 診察:症状の広がりや程度を確認します
- 治療薬の処方:症状に応じて塗り薬、飲み薬を処方します
- 生活指導:患部の洗い方やガーゼの使い方をお伝えします
- 再診:数日〜1週間後に経過を確認します
特に重要なのは、「良くなっても処方された期間は薬を続けること」です。見た目が治っても、皮膚の中にはまだ菌が残っていることがあります。途中でやめてしまうと、生き残った菌が再び増えて再発の原因になります。
また、症状がひどい場合や広範囲に広がっている場合は、塗り薬だけでなく飲み薬(内服抗菌薬)が必要になることもあります。飲み薬を処方された場合も、指示された日数分をしっかり飲み切ることが、耐性菌を作らないために非常に大切です。
家庭内感染を防ぐための5つのポイント
とびひは「飛び火」という名前の通り、触れることで他の部位や家族にうつりやすい病気です。家庭内での感染を防ぐために、以下のことを心がけましょう。
1. 患部を清潔に保つ
入浴時は患部を石けんで優しく洗い、清潔にします。ゴシゴシこすらず、泡で包むように洗いましょう。
2. 患部をガーゼで覆う
じゅくじゅくした部分はガーゼで覆い、菌が他の場所につかないようにします。ガーゼは1日1〜2回交換しましょう。
3. タオルや衣類は共用しない
とびひの患部に触れたタオルや衣類から感染が広がることがあります。家族との共用は避け、使用後はすぐに洗濯しましょう。
4. 爪を短く切る
かゆくて掻いてしまうと、爪に菌がつき、他の部位に広げてしまいます。お子さまの爪はこまめに切っておきましょう。
5. 手洗いをこまめに行う
患部を触った後や、お世話をした後は、石けんでしっかり手を洗いましょう。
これらの対策を行うことで、家族への感染リスクを大きく減らすことができます。
まとめ
とびひは適切に治療すれば必ず治る病気です。しかし、自己判断での治療中断や、市販薬だけに頼った対処は、再発や耐性菌の発生につながることがあります。
「なかなか治らない」「家族にうつしてしまった」という場合は、早めに皮膚科を受診してください。当院では、お一人おひとりの症状に合わせた治療と、再発を防ぐためのアドバイスを行っております。
とびひかな?と思ったら、悪化する前にお気軽にご相談ください。
さくら皮フ科・形成外科(品川区武蔵小山)
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