
秋に増える「脂漏性角化症(老人性いぼ)」とは?見分け方と治療法を皮膚科専門医が解説
「夏が終わったのに、なんだか顔や体にシミのような茶色いできものが増えた気がする…」そんなお悩みで来院される方が、秋になると増えてきます。
実は、夏に浴びた紫外線のダメージは、秋になってから肌に現れることが多いのです。今回は、秋に発症しやすい「脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)」について、見分け方から治療法まで詳しくご説明します。
脂漏性角化症(老人性いぼ)とは?
脂漏性角化症は、一般的に「老人性いぼ」とも呼ばれる、皮膚の良性腫瘍です。「老人性」という名前がついていますが、実際には30代から発症する方も珍しくありません。
主な特徴は以下のとおりです。
- 茶色〜黒っぽい色をしている
- 表面がザラザラ、またはボコボコしている
- 触ると少し盛り上がっている
- 顔、首、胸、背中などにできやすい
- 年齢とともに数が増えたり、大きくなったりする
見た目がシミに似ているため、「シミが盛り上がってきた」と感じて受診される方も多くいらっしゃいます。良性の腫瘍なので命に関わることはありませんが、見た目の問題や、服の摩擦で炎症を起こすことがあるため、治療を希望される方が増えています。
なぜ秋に発症・悪化しやすいの?
「夏のほうが紫外線は強いのに、どうして秋に増えるの?」と疑問に思われるかもしれません。これには、肌のターンオーバー(生まれ変わり)のサイクルが関係しています。
紫外線を浴びてから、そのダメージが目に見える形で肌に現れるまでには、約1〜3ヶ月かかることがあります。つまり、7〜8月に浴びた強い紫外線の影響が、9〜11月頃に「シミ」や「いぼ」として顕在化するのです。
さらに秋は、以下の理由でダメージが表面化しやすい季節です。
- 空気の乾燥により肌のバリア機能が低下する
- 気温の変化で肌のターンオーバーが乱れやすい
- 夏の疲れによる免疫力の低下
「秋になったら急にできものが増えた」と感じるのは、このような理由があるからなのです。
シミ?いぼ?ほくろ?見分け方のポイント
脂漏性角化症は、シミやほくろと間違われやすいできものです。ご自身で完全に見分けることは難しいですが、以下のポイントが参考になります。
シミ(老人性色素斑)との違い
- シミは平らで、触っても盛り上がりを感じない
- 脂漏性角化症は少しでも盛り上がりがある
ほくろとの違い
- ほくろは丸く均一な形が多い
- 脂漏性角化症は表面がザラザラ、ゴツゴツしている
悪性腫瘍(皮膚がん)との違い
まれに、悪性黒色腫(メラノーマ)などの皮膚がんが、シミやいぼに見えることがあります。以下の場合は、早めに皮膚科を受診してください。
- 急に大きくなった
- 色がまだらで不均一
- 形がいびつ
- 出血したり、ジュクジュクしたりする
- かゆみや痛みがある
見た目だけで判断することは専門家でも難しい場合があります。気になるできものがあれば、自己判断せずに受診することをおすすめします。
皮膚科・形成外科での治療法
脂漏性角化症は良性腫瘍のため、必ずしも治療が必要なわけではありません。ただし、以下のような理由で除去を希望される方が多くいらっしゃいます。
- 見た目が気になる(顔や首など目立つ場所にある)
- 服やアクセサリーに引っかかって炎症を起こす
- 悪性でないか心配
当院で行っている主な治療法をご紹介します。
1. 液体窒素による凍結療法
マイナス196度の液体窒素を使って、いぼを凍結させる方法です。保険適用で治療でき、比較的小さないぼに適しています。数回の治療が必要になることがあります。
2. 炭酸ガス(CO2)レーザー
レーザーで蒸散させる方法です。傷跡が残りにくく、きれいに仕上がりやすいのが特徴です。顔など目立つ部位のいぼに特に適しています。自費診療となりますが、仕上がりの美しさを重視される方におすすめです。
3. 手術による切除
大きないぼや、悪性の可能性を否定できない場合は、メスで切除して病理検査(顕微鏡検査)を行うことがあります。保険適用で治療可能です。
早めの除去がおすすめな理由
脂漏性角化症は、放置しても自然に消えることはなく、むしろ年齢とともに数が増えたり、大きくなったりする傾向があります。
小さいうちに治療すれば、傷跡も目立ちにくく、治療回数も少なくて済みます。「様子を見ていたら大きくなってしまった」「数が増えて治療が大変になった」というケースも少なくありません。気になる段階で、早めにご相談いただくことをおすすめします。
まとめ
秋は、夏の紫外線ダメージが肌に現れやすい季節です。「シミが盛り上がってきた」「茶色いできものが増えた」と感じたら、脂漏性角化症(老人性いぼ)の可能性があります。
良性腫瘍ではありますが、まれに悪性腫瘍と見分けがつきにくいこともあります。自己判断せず、気になるできものがあれば、ぜひ一度皮膚科・形成外科を受診してください。当院では、患者さまのご希望や症状に合わせて、最適な治療法をご提案しています。
さくら皮フ科・形成外科(品川区武蔵小山)
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