
秋の乾燥で悪化する「口唇炎・口角炎」の原因と治療法|リップクリームで治らない方へ
秋になると「唇の荒れがなかなか治らない」「口角が切れて痛い」というご相談が増えてきます。リップクリームをこまめに塗っているのに改善しない場合、それは単なる乾燥ではなく「口唇炎」や「口角炎」かもしれません。
今回は、秋に悪化しやすい唇のトラブルについて、原因から皮膚科での治療法まで詳しくご説明します。
口唇炎・口角炎とは?症状の特徴と見分け方
口唇炎は、唇全体に炎症が起こる状態です。症状としては、唇の乾燥、ひび割れ、皮むけ、赤み、腫れ、かゆみ、痛みなどが現れます。ひどくなると出血したり、かさぶたができたりすることもあります。
口角炎は、口の両端(口角)に炎症が起こる状態です。口角が赤く腫れる、ひび割れる、かさぶたができる、口を開けると痛いといった症状が特徴です。食事や会話のたびに痛みを感じ、日常生活に支障をきたすこともあります。
「ただの乾燥」との違いを見分けるポイントは以下の通りです。
- リップクリームを塗っても1週間以上改善しない
- 唇の赤みが周囲の皮膚にまで広がっている
- 強いかゆみや痛みがある
- 皮がむけてもすぐにまたむける
- 口角の切れが繰り返し起こる
これらに当てはまる場合は、単なる乾燥ではなく治療が必要な状態の可能性があります。
秋に悪化する原因は?乾燥だけではない複合的な要因
秋に口唇炎・口角炎が増える理由は、いくつかの要因が重なるためです。
1. 空気の乾燥
秋になると湿度が急激に下がります。唇は皮脂腺がなく、角層も薄いため、顔の他の部分より乾燥の影響を受けやすい部位です。
2. 気温の変化による免疫力の低下
寒暖差が大きくなると体調を崩しやすく、免疫力が低下します。これにより、普段は問題にならない細菌やカビ(真菌)が増殖しやすくなります。
3. 唇をなめる・触る癖
乾燥が気になって唇をなめると、唾液が蒸発する際にさらに水分が奪われ、悪循環に陥ります。また、無意識に唇を触る癖も刺激となり、炎症を悪化させます。
4. アレルギー・接触性皮膚炎
リップクリームや口紅、歯磨き粉、食べ物などに含まれる成分にアレルギー反応を起こしていることがあります。特定の製品を使い始めてから症状が出た場合は、この可能性を考えます。
5. 感染症(カンジダ・ヘルペスなど)
口角炎の場合、カンジダという真菌(カビの一種)が原因のことがあります。また、口唇ヘルペスが繰り返し再発しているケースもあります。これらは適切な治療をしないと治りません。
6. ビタミン不足や全身疾患
ビタミンB2、B6、鉄分の不足が口角炎の原因になることがあります。また、糖尿病や貧血などの全身疾患が隠れている場合もあります。
皮膚科での診断と治療法
リップクリームでのセルフケアで改善しない場合は、皮膚科を受診することをおすすめします。
【診断】
皮膚科では、症状の観察に加えて、必要に応じて以下の検査を行います。
- 真菌検査:カンジダ感染の有無を調べます
- パッチテスト:接触性皮膚炎(アレルギー)の原因を特定します
- 血液検査:ビタミン不足や全身疾患の有無を確認します
【治療法】
原因に応じて、以下のような治療を行います。
・炎症を抑える外用薬
ステロイド軟膏や非ステロイド性抗炎症薬を使用します。唇は薬の吸収が良いため、適切な強さの薬を選ぶことが重要です。自己判断で市販の強いステロイドを使い続けると、副作用が出ることがあります。
・抗真菌薬
カンジダが原因の口角炎には、抗真菌薬の軟膏や内服薬を使用します。
・抗ウイルス薬
口唇ヘルペスの場合は、抗ウイルス薬の内服や外用薬で治療します。早めに治療を開始するほど、症状が軽く済みます。
・保湿・保護剤
ワセリンなど刺激の少ない保湿剤で、唇のバリア機能を回復させます。
・原因の除去
アレルギーが原因の場合は、原因物質を避けることが根本的な治療になります。
自宅でできる予防とケアのポイント
治療と並行して、以下のセルフケアを心がけましょう。
- 唇をなめない・触らない:意識して癖を直しましょう
- 刺激の少ない保湿剤を使う:ワセリンや低刺激のリップクリームがおすすめです。香料や着色料入りの製品は避けましょう
- こまめに保湿する:食事の後や寝る前など、1日に何度か塗り直しましょう
- バランスの良い食事:ビタミンB群を含む食品(レバー、卵、納豆、青魚など)を積極的に摂りましょう
- 部屋の加湿:湿度50〜60%を目安に加湿器を使用しましょう
唇の荒れや口角炎は、正しい診断と治療を受ければ比較的早く改善することが多い疾患です。「たかが唇の荒れ」と放置せず、なかなか治らない場合は早めに皮膚科を受診してください。原因を特定し、適切な治療を行うことで、つらい症状から解放されましょう。
さくら皮フ科・形成外科(品川区武蔵小山)
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