
秋の乾燥で悪化する「結節性痒疹」とは?原因・症状と最新の治療法を解説
「かゆくて眠れない」「掻いても掻いてもおさまらない」——そんなつらい症状に悩まされていませんか?秋になり空気が乾燥してくると、慢性的なかゆみを伴う皮膚疾患が悪化しやすくなります。
かゆみを伴う皮膚病というと「アトピー性皮膚炎」や「乾癬(かんせん)」を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実はそれ以外にも「結節性痒疹(けっせつせいようしん)」という、非常に強いかゆみに悩まされる疾患があります。
今回は、あまり知られていないけれど患者さんのQOL(生活の質)を大きく低下させるこの病気について、原因から最新の治療法まで詳しくご紹介します。
結節性痒疹とは?どんな病気なの?
結節性痒疹は、皮膚に硬いしこり(結節)ができて、激しいかゆみを伴う慢性の皮膚疾患です。「痒疹(ようしん)」とは「かゆみを伴う発疹」という意味で、その中でも特にしこり状になったものを結節性痒疹と呼びます。
【主な特徴】
- えんどう豆~小豆くらいの大きさの硬いしこりができる
- 色は赤褐色~暗褐色で、表面がゴツゴツしていることが多い
- 腕や脚に左右対称にできやすい
- かゆみが非常に強く、夜間に悪化することが多い
- 数個から数十個、多い方では100個以上できることも
この病気の厄介なところは、「掻く→皮膚が傷つく→治る過程でさらにかゆくなる→また掻く」という悪循環に陥りやすい点です。掻き続けることでしこりが大きく硬くなり、さらに治りにくくなってしまいます。
なぜ発症するの?秋に悪化しやすい理由
結節性痒疹の原因は、実はまだ完全には解明されていません。しかし、いくつかの要因が関係していると考えられています。
【発症に関わる要因】
- 虫刺され:蚊やダニなどに刺された後、かゆみが長引いて発症するケースが多い
- アトピー素因:もともとアレルギー体質の方に起こりやすい傾向がある
- 皮膚のバリア機能低下:乾燥や摩擦で皮膚が弱っている状態
- 神経の過敏化:かゆみを感じる神経が敏感になっている
- 心理的ストレス:ストレスがかゆみを増強させることがある
秋に悪化しやすい理由としては、以下のことが挙げられます。
- 空気の乾燥:湿度が下がると皮膚のバリア機能が低下し、かゆみを感じやすくなる
- 夏の虫刺されの影響:夏に受けた虫刺されが治りきらず、秋になって悪化する
- 寒暖差:温度変化が皮膚への刺激となり、かゆみを誘発する
- 入浴習慣の変化:寒くなると長風呂や熱いお湯に浸かりがちで、皮膚が乾燥しやすい
皮膚科で受けられる最新の治療法
結節性痒疹は「なかなか治らない」というイメージがありましたが、近年は治療の選択肢が大きく広がっています。
【従来からの治療法】
- ステロイド外用薬:炎症とかゆみを抑える塗り薬。強めのランクのものを使用することが多い
- 抗ヒスタミン薬:かゆみを抑える飲み薬
- ステロイド局所注射:しこりに直接注射して炎症を抑える
- 紫外線療法:特殊な紫外線を照射してかゆみと炎症を改善する
【注目の最新治療】
2023年、結節性痒疹に対して「デュピクセント(デュピルマブ)」という注射薬が保険適用となりました。これは大きな進歩です。
デュピクセントは、かゆみや炎症を引き起こす体内の物質(IL-4、IL-13)の働きをブロックする「生物学的製剤」と呼ばれるお薬です。もともとアトピー性皮膚炎の治療薬として使われていましたが、結節性痒疹にも高い効果があることがわかり、適応が追加されました。
【デュピクセントの特徴】
- 2週間に1回の皮下注射(自己注射も可能)
- 従来の治療で効果が不十分だった方にも効果が期待できる
- かゆみの改善が比較的早く実感できることが多い
- 長期的な使用でも安全性が確認されている
また、「ミチーガ(ネモリズマブ)」という別の生物学的製剤も、結節性痒疹に対する治療薬として開発が進められています。
日常生活で気をつけたいセルフケア
治療と並行して、日常生活でのケアも重要です。
【保湿ケア】
- 入浴後は5分以内に保湿剤を塗る
- 1日2回以上、こまめに保湿する
- セラミド配合など、バリア機能を高める保湿剤がおすすめ
【入浴時の注意】
- お湯の温度は38~40℃のぬるめに
- 長風呂は避け、10~15分程度に
- ゴシゴシ洗わず、泡でやさしく洗う
【掻かない工夫】
- 爪を短く切っておく
- かゆい時は冷やしたタオルで患部を冷やす
- 夜間は綿の手袋をして寝る
【その他】
- 肌に触れる衣類は綿など刺激の少ない素材を選ぶ
- 部屋の湿度を50~60%に保つ
- ストレスをためない生活を心がける
おわりに
結節性痒疹は、強いかゆみが続くことで睡眠障害やストレス、外見上の悩みなど、生活全般に大きな影響を及ぼす疾患です。「たかがかゆみ」と我慢せず、早めに皮膚科を受診することが大切です。
近年は生物学的製剤の登場により、これまで難治性とされていた結節性痒疹にも効果的な治療ができるようになりました。つらいかゆみを我慢し続ける必要はありません。
「長年かゆみに悩んでいる」「市販薬では良くならない」という方は、ぜひ一度皮膚科医にご相談ください。適切な診断と治療で、快適な毎日を取り戻しましょう。
さくら皮フ科・形成外科(品川区武蔵小山)
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